SXSW 2013 雑感

今年もSXSW (South by South West)に参加するため、アメリカ、テキサス州オースティンに行ってきました. 相変わらずの盛り上がりを見せたSXSW、初めて参加した昨年と比較しつつ、今回感じたことを簡単にまとめたいと思います (昨年のレポートはこちら) .


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メイン会場のAustin Convention Center
 

昨年目立っていたテーマはなんといっても「share」. そこに「location」が加わったglanceeやhighlightのようなローケーションベースのソーシャルネットワークのサービスが目立っていました. それに対して… 今年は「share」や「social network」が話題になることがほとんどなかったように感じました. FacebookやTwitterの存在感も薄い… 逆に言うと,それらはもはや当たり前すぎて話題にならない, ある意味, 空気や水のような存在になっていると言えそうです.

さらに極端なことを言うと、アプリやwebのサービスが大きな話題になることが少ないようにすら感じました. 全体的に、スマホやアプリ、ソーシャルの次にフォーカスがうつっている… という実感です.

そんななかで、特に大きな存在感があったのはさまざまな意味でのフィジカルな「実世界」もの. Interactive部門のオープニングのキーノートスピーチが廉価な3Dプリンタで有名なMakerBotのBre Pettisだったのが象徴的です. 実世界での物理的な場所やモノをつかったサービスやゲームなども数多く見られました. いずれもスマホのアプリやwebサービスの存在が当たり前の前提条件になっている点に注意が必要です.

 

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歩きながら3Dプリント! Geomagic社のポータブルな3Dプリンタ

 

こうした実世界のモノに軸足が移る流れの中、従来のwebやアプリの世界と、それらをつなぐインタフェースにも新しい風が吹いています. 今回のSXSWで一番大きな話題をよんだGoogle Glassや、Leap Motionなども、そうした流れの中に位置づけられるのではないでしょうか. (インタフェースに関しては、The best interface = No interfaceと題された講演が面白かった. Samsungの研究所のひとらしいです. 今回、SamsungやHTCなどの研究者の講演がちらほら… 韓国・中国の企業が、単なるマニュファクチャリングから脱却している現状を象徴しているように感じました. )

 

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Leap Motionのデモ

 

実世界といえば… ぐっとスケールが大きくなって「宇宙」というテーマにもそこかしこで出会いました. NASAがハッブル望遠鏡に代わる新しい望遠鏡のモデルを展示していたり, 商用ロケット/宇宙船を開発するSpaceXのEllon Musk(Tesla Motors, PayPal)の講演があったりと、宇宙空間が新しい技術開発やビジネスのフロンティアとして再浮上している現状 (少なくともアメリカでは)を目の当たりに.

一方で、「自分」という存在にもフォーカスがあたってます. 日々の生活に関するさまざまなデータを、定量的に測定・可視化する、いわゆる“Quantified Self”も大きなトピックでした. 昨年のSXSWで目覚ましいデビューをかざったNike Fuelbandなどが代表的ですね.スマホなどで常にネットワークにつながっている世界が実現、より小型で安価なセンサーが手に入るようになったために、データの収集・保存・解析が容易になった一方、急激なネットワーク社会がしいる生活習慣の変化やストレスが健康問題に発展しがちな昨今、より健康的で実りのある生活を求める人々の意識が、こうした流れを生んでいるのではないでしょうか。こうした、個人的なデータのマイニング (こういうのをSmall Dataっていうのはどうでしょ?) には、プライバシーや権利(データの所有権など)の問題などなど、解決すべき課題は多々ありますが、ますます発展していきそうな勢いです. 個人的には今一番興味があること…といってもいいかもしれません.

宇宙と自分. ジェネリックなインターネットの世界から飛び出した人々の興味が、極大と極小の両極端な世界へも向かっている. そんな新しい動きが見えたのは面白い体験でした.

 

さて、この辺で個人的な話に話題をふると、今回のSXSWでは、Necomimiで有名なNeurowearさんの「micoヘッドホン」のローンチをお手伝いしました. micoヘッドホンは脳波センサーを搭載したヘッドホンで、ユーザの脳波を計測・分析することでユーザのムードにあわせた楽曲をレコメンドするというシステムです. これも上記のSmall Data, 個人的なデータのマイニングの応用ですね.

 

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necomimiをつけて、micoをデモするNeurowearチーム

今回はヘッドホンとセットで使用するiPhoneアプリの制作を担当しました. SXSWのトレードショーでは、micoブースはいつも大盛況. engadet, mashableといったサイトでも紹介され、大きな話題を呼んでました.Nerowearチームのみなさま、おつかれさまでした.

micoを試した人たちの反応. さすがアメリカ! リアクションが大きい!

僕が話を聞いた参加者は一様に、全体的には去年に比べて「低調」「盛り上がりに欠ける」といった意見を口にしていてました. それでも、やはり新しいアイデアやヒトとの出会いの場として、やっぱり貴重な時間を過ごすことができました.
だれだったか忘れてましたが、「SXSWは今という時間を離れて10日間だけ未来を垣間みる時間なんだ」といったことを言ってる講演者がいました. まさにその通り!
あの雰囲気に身を置くだけでも、行く価値があります.

 

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新しい出会いに感謝

最後にGeomagicのCEOでMosaic、Netscape Navigatorなどのプロジェクトを率いたPing Fuの講演から、印象に残った言葉を引用しておきます.

“Invention = Imagination Applied.”

こうして2013年に戻ってきた今日も、まずは想像、いや妄想を膨らませるところから始めていきたいと思います.

 

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Imaginationのキャンバスは大きく!

追記)
今年のセッションの録音がすでにsoundcloudにあがっています! 全部聞くのは大変ですが興味があるからぜひ聞いてみてください.

https://soundcloud.com/officialsxsw